断裁は難しい!②

①で述べたように500枚ほどをまとめて断裁しますが、これを高い精度で断裁するには前工程の印刷も理解する必要があります。

オフセット印刷の場合は、用紙の2辺を基準に刷ります。この基準をハリ側(短い辺)、クワエ側(長い辺)と呼んでいます。ハリ・クワエを基準に紙を揃えることにより、揃えた紙すべての印刷位置が正確に揃うのです。ですから断裁はハリ・クワエで紙を揃えることから始めます。私も間違えないようにマジックで印をつけてから紙を揃えるようにしています。

オンデマンド印刷の場合は、特に基準がないので、印刷する前に用紙を寸法断裁して、同じ大きさにしておくことで、紙揃えからの断裁が容易になります。

印刷は色むらの発生や紙の無駄をなくす為、出来るだけ用紙全面を使い印刷します。小さいものは多面付で、頁物は何台か付け合わせで印刷されるのが普通です。それを次工程がやりやすいように正確に細かく分けたり、仕上げたりしなければなりません。

正確に断裁するには、まずそろえた用紙のエアをしっかり抜く。紙と紙の隙間をなくしておかないと、紙がたわんでしまい正確に断てません。

定期的に研磨された良く切れるナイフを使う。コックさんや大工さんも切れないナイフで良い仕事はできません。刃が切れないと、ホーローカット(紙束の真ん中が短い)になってしまう。

断裁する用紙に合った刃角にしておく。20度から25度位が一般的です。軟らかい紙質は狭い刃角、硬い紙質は広い刃角が理想ですが、頻繁に交換できないので、普段多く業務する紙質に合わせておきたいものです。

断裁する用紙に合ったクランプ圧で紙をしっかり抑える。断裁機はクランプ(紙抑え)が下がってからナイフが下がる仕組みになっています。クランプ圧は1500㎏から3000㎏位の圧力で紙を抑えます。軟らかい紙質は高いクランプ圧、硬い紙質は低いクランプ圧にするのですが、圧が弱すぎるとアンダーカット(紙束の下が短い)になったりホーローカット(紙束の真ん中が短い)になったりします。逆に圧が高すぎるとオーバーカット(紙束の上が短い)になったりしますので、紙質に合わせてクランプ圧を調整します。